個人再生は、自己破産よりも再起をかける可能性を残した債務者の返済負担の軽減と 返済計画の立案 支援する手続きです。民事再生法を個人向けに簡易化した手続きを個人再生といい、住宅ローン以外の借金総額が5000万円以下という制限があります。一方「民事再生」は法人でも個人でも利用できる法的手続きで、債務超過の会社や、多額の借金を抱える個人事業主などが対象になります。
ここでは個人再生について詳しく解説していきます。
債務整理全般について、借金問題で弁護士や司法書士に依頼することを検討されている方は以下の記事にまとめていますのでご確認ください。
監修者について
監修者プロフィール:株式会社Crepas 代表取締役 牧村和慶
お金や借金の問題について弁護士や司法書士への取材活動を行い、正しい知識を発信して借金問題の解決に尽力している。司法書士や法律事務所への取材実績はこちら
当サイトで表示する内容は以下に記す団体、法律を参考に情報をまとめています。
参考:貸金業法
参考:日本弁護士連合会(日弁連)
参考:日本司法書士連合会
参考:法テラス
個人(民事)再生とは?
あまり聞いたことがない言葉かもしれませんが個人再生は民事再生法を個人向けに簡素化した手続きで、住宅ローン以外の借金総額が5000万円以下の方が申し立てることができる小規模個人再生や、給与所得者など将来の収入を把握することが可能な人が申し立てることができる給与所得者再生があります。
簡単に言うと、裁判所に申し立てをして行い、借金を大幅に減額してもらいその減額後の金額を返済することにより。破産せずに生活再建を図る制度です。
任意整理は裁判所を介さずに弁護士などの専門家が、債権者と個別交渉して、将来の利息の一部カットや返済期間の延長などによって返済負担を軽減する債務整理の方法です。自己破産は裁判所を通じて法的に借金を帳消しにしてもらうことをいいます。
民事再生はこの中間なので、借金を減額することを裁判所に申し立てして、借金を大幅に減額してもらい、原則3-5年で分割返済する手続きです。
借金返済面や精神面で負担にならない、しっかり債権者には返済は続けるということで心理的にも次が見えるということで自己破産よりかは民事再生をおすすめします。もちろん、できることなら任意整理、難しいなら民事再生を行うのが良いと思います。
個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類の手続きがあります。
1)小規模個人再生は主に自営業を営む個人事業主を対象とした手続きで、債務者が作成する再生計画案が再生計画案の書面決議されて、債権者の不同意意見が一定数を超えた場合は、再生計画案が否決され、個人再生が認められなくなるという特徴があります。
2)給与所得者等再生は、安定収入がある会社員のような方を対象としており、毎月の収入の変動幅が約2羽以内であることが条件です。最低弁済額基準が小規模個人再生より厳格なため再生計画案の書面決議は不要とされています。給与所得者等再生をする場合には、可処分所得の2年分の金額を返済する必要があります。
個人再生(民事再生)の小規模個人再生による減額後の債務
これは法律によって決められています。下記の通りとなります。
参考:https://saimu.vbest.jp/columns/7169/
- 借金の額が100万円未満
- 弁済金額はそのまま 減額なし
- 100万円~500万円未満
- 最低弁済額100万円
- 500万円~1500万円未満
- 借金金額の5分の1を弁済
- 1500万円~3000万円未満
- 最低弁済額300万円
- 3000万円~5000万円未満
- 借金総額の10分の1
- 5000万円以上
- 個人再生(民事再生)不可
以上が借金の金額に対して支払う債務になります。例えば借金総額が300万円の場合、最低弁済額は100万円です。上記のように5000万円を超えない場合には、個人再生の手続きを選びことが出来ます。
個人再生のメリット
個人再生(民事再生)の大きなメリットとして、自己破産とは異なり、財産は0にならないということです。住宅ローンを返済中の場合、「住宅資金特別条項」を利用すればマイホームを手放さずに済む可能性があり、職業に関する資格制限などはありません。
自己破産の場合はイメージ的にも良くありませんが、民事再生なら再起をかけて改めてスタートとするというイメージがあります。企業(法人)が破綻しても、民事再生手続きを利用して改めてスタートするということと同じです。
債務は減るけど、借金はきちんと返済していく、債権者にとっても自己破産よりこちらのほうがうれしいのです。自己破産になると貸したお金は戻ってきませんので。民事再生なら一部は債務者の返済により戻ってきます。
個人再生(民事再生)は上述したようにマイホームを残せる可能性があり、債務整理の際に整理する財産を選択できるということが大きな特徴です。マイホーム・自宅が残ればそこに済み続けて借金返済ができます。
個人再生のデメリット
個人再生(民事再生)にも不利な点はあります。借金が減る点や債務整理をする対象を選択できる点は自己破産よりメリットがありますが、デメリットは 自己破産とほぼ同じと思ったほうが良いでしょう。
例えばまずは 借金はゼロにはなりません。弁護士事務所などに支払う諸費用はどうしても必要です。手続きに手間と時間がかかります。また、官報に個人再生(民事再生)を行ったという掲載はされ氏名 住所が明らかになります。また信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆるブラックリストに載り、クレジットカードの利用が出来なくなったり、銀行から新たな借り入れができないなど、苦労することがあるかもしれません。ローンが残っている車など、ローン会社の所有権が設定している財産は処分される可能性がありますし、税金や罰金は減額の対象にはなりません。そして保証人や連帯保証人には謝金の1部の返済義務が生じて迷惑がかかることがあります。
その点は自己破産のデメリットを参考にしてみてください。
個人再生はどこに依頼するべき?
借金問題を解決する上で、任意整理なのか個人再生か自己破産かを正しく判断する能力が求められます。
自分自身でも手続きは可能ですが、どうしても知識と時間が必要なため一般的な会社員の方が行うには物理的に難しい場面も多くあります。
そういった場合は弁護士や司法書士に依頼することになりますが、どのような観点で事務所を探せば良いか難しいのが現状です。
ポイントは債務整理について実績が豊富で自己破産や個人再生もしっかり件数をこなしているかどうかで事務所を選ぶと良いでしょう。
安易に自己破産を勧めるような事務所は除いて、しっかり状況を把握した上で適切な対応として個人再生を選択することについては問題ありません。
まずは任意整理による減額の和解交渉や過払い金請求をしっかり確認した上での判断となりますので、債務整理を専門に対応されている事務所がおすすめです。
以下の記事で個人再生や自己破産を依頼できる事務所をまとめましたので確認してみてください。
まとめ
それでも個人民事再生は自己破産より良いというのが結論です。
できれば任意整理で解決したいところですが、どうしても苦しい場合には自己破産ではなくて個人再生(民事再生)をおすすめします。個人再生の条件は任意整理より厳しく、個人再生をしたくても認められないケースもあるということを認識しておきましょう。
自己破産は本当に破産ということで世間的なイメージが悪いです。将来ずっとつきまとってきます。
個人(民事)再生であれば再起をかけてがんばるというイメージはありますので将来に向けて心理的な負担は少ないでしょう。
まずは、任意整理、その後、個人(民事)再生を検討して、実績のある弁護士など専門家に相談を考えてみてください。事前の相談で最低弁済額のおおよその金額がわかりますし、他の解決策アドバイスもうけられます。
複雑な手続きもすべて行ってもらうことができます。
個人再生と自己破産、任意整理との比較については以下の記事で解説していますのであわせてご確認ください。